自己責任原則と適合性の原則
"投資は自己責任"とはよく聞く言葉ですが、適合性の原則という言葉はあまり聞かないですね。
知名度は全く異なりますが、この二つの原則を表裏関係でとらえるとわかりやすくなります。
自己責任原則とは、「金融商品に投資する場合の利益と損失両方に対して、投資家が責任を持つ」という原則です。
超不人気IPOやばらまき銘柄を除き、IPOの当選&初値売りは、現状ノーリスクとか95%以上儲かるとの形容詞をつける方がいるほど儲かる確率の高い投資(金融商品)です。
しかし、自己責任原則に照らせば、誰がどのように言っても、マネー誌やプロの初値予想にどう書いてあっても、最終判断は自分で損失も自分の責任です。
有名なあおぞら銀行の公募割れの例を出すまでもなく、最近のIPO人気の二極化はますますその傾向を強めています。大きく儲かるのは小型人気銘柄だけ、不人気IPOやばらまき銘柄は一般の株式同様勝ったり負けたりという状況になるように感じています。
ぜひ自己責任原則を心にとどめておいてください。
適合性の原則とは、証券取引法に定められた金融機関の説明責任の事で「投資家の資産状況を把握し、その投資や金融商品のリスクをきちんと理解している投資家にしか売り込んではいけない」という原則です。
投資ジャーナルや豊田商事などは、孤独な老人から親切を装ってお金をだまし取っていました。
このような極端な例を出すまでもなく、"内容は良くわからないけど、窓口のお姉さんに熱心に勧められたから買った"というのは、結構あるのではないでしょうか。
この2つの原則は、IPOの世界では少しニュアンスの異なる用途に使われることもあるようです。
人気IPOのケースでは、適合性の原則が、"資産内容良好(→預け入れ資金大)で投資経験豊富(→自社との取引が頻繁)な方にしか配分してはいけない"と理解されているようにもみえます。(→裁量配分)
ばらまき銘柄や不人気IPOのケースになると、適合性の原則(金融機関の説明責任)がなりを潜め、公募割れ後に自己責任原則が強調されるように感じられるのは管理人だけでしょうか。
では、ご自身で目論見書を完全に読んでください、と言うのも普通の個人投資家には時間的に無理があり悩ましい課題です。
IPO投資に限らず資産運用では、資金力で機関投資家に劣る個人投資家としては、投資に関する勉強と情報収集で、自分の大切なお金は自分で守る姿勢が大切と思います。